【発明の名称】顕微鏡用カメラアダプタ 【技術分野】 【0001】 本発明は、顕微鏡の鏡筒部にカメラを装着して接眼レンズを介して標本像を撮影するためのカメラアダプタに関する。 【背景技術】 【0002】 顕微鏡の接眼レンズの取り付け口に挿入される挿入部とカメラのレンズに接続される接続部とで構成されるカメラアダプタが提案されている(実用新案登録第3068547号公報参照)。このカメラアダプタは、カメラ側にアダプタを取り付けるネジ部(一般にはフィルター枠)が必要であり、フィルターネジのないタイプのカメラには適用できない。また、アダプタにレンズを内蔵しているため高価になる。 【0003】 また、天体望遠鏡用の接眼スリーブの外周部にアダプタを装着して、カメラをネジで固定するカメラアダプタが市販されている。このカメラアダプタは、接眼スリーブの外周部にアダプタの固定部(中空円筒形状)をかぶせて側面からネジで押しながら固定する。このため、固定するときのネジの締め加減でカメラの光軸がずれてしまう。また、このカメラアダプタはアダプタ固定部に直接カメラの位置調節装置が接続しているため、観察と撮影を繰り返す度にアダプタを着脱しなくてはならない。このとき、必ずカメラの光軸合わせが必要になるため面倒である。 【0004】 他には、顕微鏡の双眼鏡筒部の第1の接眼スリーブにカメラアダプタ本体を固定し、第2の接眼スリーブから接眼レンズを介して標本像を撮影するアダプタが提案されている(特許公開第2002−350740号公報参照)。このアダプタは接眼スリーブへ嵌合状態で接続されるため、上記の天体望遠鏡用アダプタに比較してカメラの固定位置を再現しやすいが、光軸の位置調節は必要である。また、このアダプタは双眼顕微鏡にのみ接続可能であり、汎用性に欠ける。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、安価かつ汎用性があり、顕微鏡に対するカメラの着脱が容易な顕微鏡用カメラアダプタを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段を講じた。 【0007】 本発明は、顕微鏡の鏡筒部から接眼レンズを介して標本像を撮影するカメラを前記顕微鏡に装着するための顕微鏡用カメラアダプタで、前記鏡筒部にカメラアダプタ本体を固定するためのアダプタ固定部と、前記アダプタ固定部とカメラアダプタ本体を着脱するための接続部と、前記カメラを保持するカメラ保持部と、を備えたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、安価かつ汎用性があり、顕微鏡に対するカメラの着脱が容易な顕微鏡用カメラアダプタを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の一実施の形態を示す上面図、図2は側面図、図3は正面図である。 【0010】 図1、図2に示すように、本発明のカメラアダプタは顕微鏡鏡筒部1にアダプタ固定部3で固定される。アダプタ固定部3の内縁は不正円形をしており、アダプタ固定部固定ネジ4で固定することで、アダプタ固定部3は円筒状の顕微鏡鏡筒1を3点で固定する。 【0011】 アダプタ固定部3は、鏡筒を確実に固定できるものであれば他の形状でも良い。 【0012】 アダプタ固定部3は、再現性を持ってアダプタ本体に着脱することができる。図3ではアダプタ固定部−カメラアダプタ本体接続部5から突出する2本のロッドを、アダプタ固定部に開けられた2つの穴に挿入するにより、再現性を持たせた。 【0013】 また、アダプタ固定部3とカメラアダプタ本体との接続が外れないようにするために、アダプタ固定部−カメラアダプタ本体接続部接続ネジ6を用いた。 【0014】 アダプタ固定部とカメラアダプタ本体との接続方法は、再現性のある方法であれば、他の形状でも良い。 【0015】 アダプタ固定部−カメラアダプタ本体接続部5にはカメラ角度調節ロッド7が付いている。カメラ角度調節ロッド7は円柱状をしており、垂直ロッドガイド9に開けられた円形の穴に挿入される。この穴を支点としてアダプタ本体を回転させることにより、接眼レンズ2に対するカメラレンズ30の角度を上下方向に調節する。カメラ角度調節ロッド固定ネジ8を締め、角度を固定する。 【0016】 アダプタ本体は、垂直ロッド10、前後ロッド15、水平ロッド20を有している。 【0017】 カメラ保持部25は、前後ロッドガイド16を垂直ロッド10に沿ってスライドさせることにより垂直方向に、前後ロッド15を前後ロッドガイド16に沿ってスライドさせることにより前後方向へ、カメラ保持部25を水平ロッド20に沿ってスライドさせることにより水平方向へ移動する。 【0018】 垂直ロッドガイド9上方には垂直ロッド微動装置Aが付いている。垂直ロッド微動装置Aは、垂直ロッドガイド9、垂直ロッド微動ネジ12および垂直ロッド微動ネジガイド13により構成される。垂直ロッド微動ネジガイド13は、垂直ロッド10の上端に固定されている。垂直ロッド微動ネジ12は、ねじ込み可能な形状で垂直ロッド微動ネジガイド13に固定されおり、垂直ロッドガイド9に開けられたねじ切りにねじ込まれている。 【0019】 カメラ保持部25は、垂直ロッド微動ネジ12を締めると下方へ移動し、緩めると上方へ移動する。 【0020】 垂直ロッド微動装置Aは、微動可能な装置であれば、他の形状をしていても良い。 【0021】 前後ロッドガイド16は、垂直ロッド10と前後ロッド15を直角に接続する。また、前後ロッドガイド16は、垂直ロッド10と前後ロッド15の双方に沿って移動する構造となっている。前後ロッドガイド16には、前後ガイド固定ネジ14と前後ロッド固定ネジ17が付属している。前後ガイド固定ネジ14は、前後ロッドガイド16と垂直ロッド10との固定を行う。前後ロッド固定ネジ17は、前後ロッドガイド16と前後ロッド15との固定を行う。 【0022】 前後ロッド15と水平ロッド20は、交叉ガイド21により直角に接続している。交叉ガイド21は、前後ロッド15と水平ロッド20の双方に沿って移動する構造となっている。交叉ガイド21には、交叉ガイドロッド固定ネジ24が付いている。交叉ガイドロッド固定ネジ24は、交叉ガイド21と前後ロッド15、水平ロッド20の固定を行う。 【0023】 交叉ガイド21の手前には前後ロッド微動装置Bが、右側には水平ロッド微動装置Cが付いている。 【0024】 前後ロッド微動装置Bは、交叉ガイド21、前後ロッド微動ネジ19および前後ロッド微動ネジガイド18により構成される。前後ロッド微動ネジガイド18は、前後ロッド15の手前に固定されている。前後ロッド微動ネジ19は、ねじ込み可能な形状で前後ロッド微動ネジガイド18に固定されおり、交叉ガイド21に開けられたねじ切りにねじ込まれている。 【0025】 カメラ保持部25は、前後ロッド微動ネジ19を締めると手前へ移動し、緩めると奥へ移動する。 【0026】 前後ロッド微動装置Bは、微動可能な装置であれば、他の形状をしていても良い。 【0027】 水平ロッド微動装置Cは、交叉ガイド21、水平ロッド微動ネジ23および水平ロッド微動ネジガイド22により構成される。水平ロッド微動ネジガイド22は、水平ロッド20の右側に固定されている。水平ロッド微動ネジ23は、ねじ込み可能な形状で水平ロッド微動ネジガイド22に固定されおり、交叉ガイド21に開けられたねじ切りにねじ込まれている。 【0028】 カメラ保持部25は、水平ロッド微動ネジ23を締めると左側へ移動し、緩めると右側へ移動する。 【0029】 水平ロッド微動装置Cは、微動可能な装置であれば、他の形状をしていても良い。 【0030】 カメラ保持部25は、水平ガイド20に沿って移動でき、カメラ保持部固定ネジ26で、カメラ保持部25と水平ガイド20を固定する。 【0031】 カメラ保持部25とカメラ29との接続は、カメラの三脚ネジを利用し、カメラ固定ネジ27で固定する。 【0032】 垂直ロッド10の下端、前後ロッド15の奥端、水平ロッド20の左端には、ロッドの脱落を防ぐためにロッドエンド28が付いている。 【0033】 本発明のアダプタは公知の顕微鏡に接続し、接眼レンズを通して、顕微鏡画像を公知のカメラで撮影する。具体的な使用法は以下の通りである。 【0034】 アダプタ固定部3をアダプタ本体から取り外し、アダプタ固定部3のみを接眼レンズ1に接続する。接続は、アダプタ固定部3を鏡筒部1の外側に被せ、アダプタ固定部固定ネジ4を締め込むことで行う。 【0035】 カメラ固定ネジ27をカメラ三脚ネジへ締め込み、カメラをカメラ保持部25へ固定する。また、前後ロッドガイド16、前後ロッド15、カメラ保持部25をスライドし、各支点からのロッド長が最大になるように調節する。 【0036】 アダプタ本体をアダプタ固定部3に接続し、アダプタ固定部−カメラアダプタ本体接続部接続ネジ6を締めこんで、アダプタ本体が脱落しないよう確実に接続する。 【0037】 前後ロッドガイド16、前後ロッド15、カメラ保持部25をスライドし、接眼レンズ2とカメラレンズ30が最も接近するように粗動調節する。前後ガイド固定ネジ14、前後ロッド固定ネジ17、カメラ保持部固定ネジ26を締め込み、カメラ位置を固定する。 【0038】 カメラ角度調節ロッド7を軸にアダプタ本体を回転させ、接眼レンズ2とカメラレンズ30を平行にする。 【0039】 カメラのズーム機能を停止して、ファインダ、内蔵モニタないし外部モニタを使用して、顕微鏡画像を確認する。円形の顕微鏡画像が視野の中心に表示されるように、垂直ロッド微動ネジ12、前後ロッド微動ネジ19、水平ロッド微動ネジ23を回転してカメラ位置を微動調節する。垂直ロッド固定ネジ11、交叉ガイドロッド固定ネジ24を締め込み、カメラを固定する。 【0040】 カメラのズーム機能を使用して、ファインダ、内蔵モニタないし外部モニタ全体に顕微鏡画像が表示されるように調節した後、顕微鏡画像を撮影する。 【図面の簡単な説明】 【0041】 【図1】 本発明の顕微鏡用カメラアダプタの上面図。 ![]() 【図2】 本発明の顕微鏡用カメラアダプタの側面図。 ![]() 【図3】 本発明の顕微鏡用カメラアダプタの正面図。 ![]() 【符号の説明】 【0042】 1…鏡筒部 2…接眼レンズ 3…アダプタ固定部 4…アダプタ固定部固定ネジ 5…アダプタ固定部−カメラアダプタ本体接続部 6…アダプタ固定部−カメラアダプタ本体接続部接続ネジ 7…カメラ角度調節ロッド 8…カメラ角度調節ロッド固定ネジ 9…垂直ロッドガイド 10…垂直ロッド 11…垂直ロッド固定ネジ 12…垂直ロッド微動ネジ 13…垂直ロッド微動ネジガイド 14…前後ガイド固定ネジ 15…前後ロッド 16…前後ロッドガイド 17…前後ロッド固定ネジ 18…前後ロッド微動ネジガイド 19…前後ロッド微動ネジ 20…水平ロッド 21…交叉ガイド 22…水平ロッド微動ネジガイド 23…水平ロッド微動ネジ 24…交叉ガイドロッド固定ネジ 25…カメラ保持部 26…カメラ保持部固定ネジ 27…カメラ固定ネジ 28…ロッドエンド 29…カメラ 30…カメラレンズ |