病理標本作成


 病理医が患者さんから採取された生検材料および手術材料を診断する
ためには,まず,組織材料からパラフィン包埋ブロックを作成します.
採取された組織材料は,ホルマリン液によって固定されます.この固定
された組織をアルコールに通して徐々に脱水し,その後,キシロールを
経由してパラフィンを浸透させます.この操作により,組織の隅々まで
パラフィンが行き届いた,パラフィン包埋ブロックが作成されるのです.
パラフィン包埋ブロックは,ミクロトームという機械によって,4μmに
薄切され,スライドグラスに乗せられた後,乾燥されてしっかりと張り
つけられます.このスライドグラスにヘマトキシリン・エオジン染色を
行い,染色された標本を顕微鏡で観察することにより病理医は病理組織
診断を行います.ヘマトキシリン・エオジン染色(H&E染色)は,最も
一般的な染色法で,核はヘマトキシリンで濃い紫色に,細胞質はエオジ
ンで淡赤色に染色されるのが,一般的な細胞の染まり方です.この他に
病理検査で使用する染色には特殊染色というものがあります.粘液や糖
質を染めるPAS染色,結核菌を染めるチ-ル・ネールゼン染色,アミロイ
ドを染めるコンゴーレッド染色,脂肪を染めるオイルレッドO染色など
がしばしば使用される染色です.



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